建築の世界において、もっとも「効率的」で「合理的」なのは、間違いなく90度(直角)です。家具は並べやすく、材料のロスも少なく、構造計算もシンプル。しかし、私たちの心に深く刻まれる空間は、時としてその「効率性」から逸脱した、直角をもたない角度の中に宿ることがあります。今回は、あえて「斜め」や「曲線」を取り入れることで生まれる、非直角建築の魅力について深掘りします。
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視覚的な「奥行き」と「躍動感」の創出

直角で構成された箱型の部屋は、予測が可能で安心感を与えます。しかし、一歩そこから踏み出し、壁を数度傾けたり、鋭角・鈍角のコーナーを作ったりするだけで、空間の表情は一変します。
消失点の変化
視線が一点に収束せず、奥へ奥へと誘われるような不思議な遠近感が生まれます。
動線の流動性
角が取れた空間や斜めの壁は、人の動きを自然に誘導し、空間に「流れ」を作ります。
光と影のグラデーション
直角の壁では光がパキッと分かれますが、角度がついた壁には、時間とともに移ろう繊細な影の階調が映し出されます。
「変形地」を唯一無二の個性に変える

都市部で見られる三角形や台形といった、いわゆる「変形地」。一般的には扱いづらいとされるこれらの土地こそ、非直角建築の魅力がもっとも発揮される舞台です。
「土地の形をそのまま空間にする」
土地の境界線に合わせて建物を設計すると、必然的に直角でないコーナーが生まれます。それは「制約」ではなく、その場所でしか成立しない「固有の豊かさ」へと昇華されます。
| 要素 | 直角の空間 | 非直角(斜め・曲線)の空間 |
|---|---|---|
| 印象 |
規律、安定、効率 |
自由、有機的、個性的 |
| 視線 |
壁にぶつかって止まる |
壁に沿って空間が広がる |
| 居心地 |
公共的、機能的 |
守られているような包容感 |
心理的な「溜まり」と「包容力」

人間にとって、直角すぎる空間は時に「硬さ」や「緊張感」を感じさせることがあります。一方で、鈍角(120度など)のコーナーは、背後を優しく包み込んでくれるような、独特の安心感を生み出します。
コーナーベンチの魔法
90度ではなく、少し開いた角度のコーナーに腰を下ろすと、視界が広がり、隣に座る人との距離感も絶妙に柔らかくなります。
自然界への回帰
そもそも自然界に完璧な直角は存在しません。非直角を取り入れることは、私たちの本能が求める「ゆらぎ」を住まいに持ち込むことでもあるのです。
まとめ
もちろん、直角を捨てることはコストアップや施工の難易度につながります。家具の配置に工夫が必要になることもあるでしょう。しかし、その不自由さを補って余りある自分だけの風景がそこにはあります。直角という「当たり前」の呪縛を解いたとき、建築は単なるハコではなく、住む人の感性を刺激するアートへと進化します。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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