照明や太陽の「光」は、その部屋を単に照らすだけでなく、空間の印象や人々に与える気分に大きな変化を与えます。人は五感の中でも特に視覚に大きな影響を受けることから、その空間の認識は視覚によって印象付けられることになります。照明や太陽の光の建築への取り込み方を理解すれば、その空間に合わせた光のデザインにより上質で印象的な空間をつくることに繋がります。
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光源を隠した間接的な光の取り込み方
光源を隠した間接的に光を取り入れる方法として、太陽光を間接的に取り入れる方法と照明を隠して間接照明を計画する方法があります。光源が隠れることによる効果は、光だけが空間を照らしてくれることによる自然に近づくことで人の五感に触れ癒しにつながるものです。
また、間接的に光を入れることで均一な光とは異なり、グラデーション的に光が広がり、空間に立体感が生まれ深みを感じられる空間となります。
太陽光を間接的に取り入れる
太陽光はフルスペクトル光と言われ、すべての色の光をほぼ均等に含んでいると言われています。また、太陽光は50,000~100,000ルクス、曇りでも10,000ルクス程度の明るさがあると言われています。照明器具に比べてはるかな光のパワーがあり強いコントラストをつくることができます。
人間の視覚に馴染みがあるこの光で、人は天候や時刻、季節など、その変化の意味を本能的に理解しています。この人に馴染みのある太陽の光ですが、直接的に建築室内に取り込むと、紫外線による内装材だけでなく人への影響もあります。一旦、外部の植栽や床、壁などへ跳ね返らせてから室内へ間接的に取り込むことで、強い光が緩和され、優しい印象を与えることが出来ます。
北向きの窓は、外部の環境を一旦跳ね返らせた間接光です。住宅では、北向きはあまりよいイメージがないかもしれませんが、意外と北向きの部屋は太陽光の間接的な光を安定して取り込むことができるいい面ももっています。
ただし、太陽光の場合入ってくる方角によって、光の色味がやや異なります。
北面は、寒色系の光、南面や西面は暖色系の光が入ってきます。
光を入れたい室用途によって操作すると、より効果的となります。
間接照明による光の操作
照明器具自体を見えないよう建築を操作することで、光だけでその空間が包まれる非日常感を作り出すことが出来ます。人は本能的に、光源(照明器具)のあるところまでを空間として意識するため、光源を隠すことで、光の先を勝手に奥行きと捉えることで、空間のとらえ方が広がります。狭い空間となる廊下やトイレに間接照明を取り込むことで、実際の広さより奥行きを感じさせることが出来ます。
また、リビングなどの見せ場となる空間では、垂直方向に奥行きを感じさせたいのか、水平方向に広がりを感じさせたいのかによって、間接照明から入ってくる方向を調整することで、空間の奥行き感を操作することが可能となります。
光源(照明器具)を表した空間デザイン
光を隠す間接的な光とは対照的に、直接光源を魅せる手法もあります。照明を計画する場合、建築家や照明デザイナーは「アンビエント照明」、「タスク照明」、「アクセント照明」の3つを意識してデザインしています。
アンビエント照明
アンビエントとは、空間全体を均一に明るくする照明のことを示します。その空間の全体的な明るさとムードを決定つける照明で、住宅ではこのアンビエント照明だけで殆どの部屋がつくられています。
タスク照明
アンビエントの全体を照らす照明に対して、必要な部分だけを照らす照明がタスク照明です。例えば、デスクライトがそれに当たります。デスクの必要照度をタスク照明で確保出来れば、全体を照らすアンビエント照明の照度を落として、全体を落ち着かせた照明計画が可能となり、また、照明器具は増えますが、全体的に照度を落とすことでランニングコストを抑えた効率的な照明計画となります。
アクセント照明
名前の如く、空間にアクセントを加える照明です。シャンデリアなどは、それに当たります。商業施設等では、デザイン性の高い照明器具の配置でアクセント照明をアンビエント照明に兼ねる方法もありますまた、ホテルの廊下にはやや照度を抑えたアンビエント照明があり、室番号だけを明るく照らしたアクセント照明で演出しているところがあります。
照明と太陽の光の建築への取り込み方
照明と太陽の光の建築への取り込み方は、効果的に操作することが出来れば、美しい空間をつくるだけでなく、人の感性にも届くものとなり得ます。太陽の光は、コントラストと様々な色味を活用し、間接的に建築内に取り込むことで非常に効果的なものとなります。
また、照明計画では、間接的に取り込むだけでなく、アンビエント、タスク、アクセントを意識して上手く組み合わせることで効果的にその空間を演出することが可能となります。そんな目線で、美しいと思われる空間を見ると見え方が変わってくるかもしれません。
また、今年度の照明デザイン賞を見ると、今の日本の最上級の照明デザインを見ることが出来ます。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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