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【建築士つぶやく】建物緑化のメリット・デメリットと事例集

図面制作スタッフ

建物の屋上や壁面への緑化は、都市部・郊外に限らず建物周辺への温熱環境や景観上の影響を考えると非常に有効な手段ではあります。ただし、緑化する建物にとっては技術的に解説しなければならない防水問題、初期投資の費用、維持メンテナンスとマイナス面もあります。

今回は、建物緑化についてのメリット、デメリットを踏まえ、それでも緑化する建物の意図について解説します。

 

 

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建物緑化の種類、それぞれの特徴

建物の緑化には、屋上緑化と壁面緑化の大きく分けて2種類あります。

 

屋上緑化

 

建物の屋上を緑化する場合、一般的には陸屋根に緑化用土壌を乗せ植栽する方法が多いですが、勾配屋根に軽量の植栽用土壌を敷きならべる場合もあります。屋上緑化のメリットとしては、屋根からの熱負荷が大幅に低減され、夏場の冷房運転の省エネ化が図れるだけでなく、屋上緑化が外断熱となり冬場の保温効果も期待できます。また、直接日光の紫外線や雨風が屋根材である金属や防水面に当たらないことで、建物の劣化軽減にも繋がります。

 

壁面緑化

 

建物壁面緑化は、外壁の外側へ壁面緑化用のプランターを設置する方法や、ワイヤー等によるツル系植物を登攀させる手法があります。屋上緑化程の省エネ効果は見込めませんが、建物の屋上に比べて視覚的な効果が高く、人の心理的作用を利用した癒しや涼しさを感じさせる効果があります。

 

建物緑化のメリット、デメリット

まずは建物緑化のメリットですが、上でも挙げたように省エネ効果と建物の劣化軽減の効果が最も有効な所ではありますが、それ以外にも、都市部のヒートアイランド現象を抑える効果もあります。ヒートアイランド現象は、特に人や建物の賑わう都市部で気温が高くなる現象のことですが、屋上緑化は建物にこもる熱を低減し、ヒートアイランド現象を抑えることが可能となります。更に、雨水流出の抑制にも繋がります。緑化は雨水を吸収し、都市部への雨水流出を遅らせることができます。特に最近、都市部ではコンクリートやアスファルトが多く水害が深刻化しています。少しでも雨水の流出を抑制させることが出来れば、都市型の水害の防止が期待できます。

次に、建物緑化のデメリットですが、まずは初期投資が必要な所です。屋根や外壁の外側へもう一重、外装材を纏うわけですから、建設コストに大きく影響してきます。更に、草刈りや水やりのメンテナンスも必要ですので、維持管理費も必要となってきます。

 

事例1:屋上緑化事例

 

この事例では、屋上の芝生広場と、中庭の芝生広場が立体的に繋がり、まるで建物が地下に埋め込まれたような感覚になります。建物の利用者にとっても緑に囲まれた感覚で癒しを感じられる空間です。

 

事例2:建物緑化事例

 

屋上から壁面につながる緑化で、屋上だけでは緑化を視覚的に感じられませんが、壁面と連続して緑化することで、視覚的に非常に効果的となります。また、壁面と連続することで、屋上の排水も樋を設けずに、緑化が屋上から壁面に繋がる部分で排水を計画出来るため、外観上もスッキリする建物です。

 

事例3:ビル緑化

 

都市部のビルは、経済性も重要で建物緑化はなかなか採用されない傾向ですが、稀に思い切って壁面を緑化する場合もあります。この事例のように各階の窓際に緑化を配置することで、周辺の景観上の効果に加え、ビル内部への緑化の視覚的効果も期待できます。心地よい職場環境を目指す動きはSDGsにも項目があり、今後増えていく可能性があります。

 

まとめ

建物緑化は、省エネ効果、建物保護機能、SDGsにも通じる視覚的効果があり、非常に有効な手段です。初期コストの経済性と維持メンテナンスを考慮し、省エネ効果や建物保護機能によるランニングコストの軽減をシミュレーションした上で、採用可否を検討します。コスト的な所がクリアされれば、意匠性や心理的作用の効果が非常に高い為、建物緑化は出来る限り採用することをおススメします。

 

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ニックネーム
one archi

現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。

自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

 

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