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【建築士つぶやく】天井のない天井デザイン実例集

天井材は、石膏ボードにクロスまたは塗装が昨今の建築では最もポピュラーとなっています。

日本では、天井材に石膏ボードが使われ出してから約100年経つようです。今では当たり前のように住宅から商業建築や公共建築物まで天井は石膏ボードが使われています。流通量も多く経済的で、施工性もよく、耐火性もあり、万能な石膏ボードですが、その石膏ボードの天井ありきで、照明や空調機器等の配置を検討しデザインすることが当たり前となっています。

そんな中、少し前からリフォームやリノベーションを美しくデザインされることにも注力されることになり、天井の考え方が少し変わりつつあると感じます。改修前は、昔の経済性を重視した階高の低いつくりの建築をいかに天井を高く開放感のある空間に生まれ変わらせるかを考慮し、天井のないデザインが考えられています。

また、耐震設計についても、構造部材(柱・梁・壁等)だけでなく非構造部材(天井材等の内装材や建具等)の安全性についても注力されるようになってきています。

建物自体(構造)が丈夫にできていても、非構造部材の天井材が落下し、被害を受けた事例が沢山報告されています。

そこで、井材の落下防止についての対策が研究されています。下地材を補強することや、天井材を軽くすること、天井材をなくしてしまうことが考えられるようになっています。

そもそも、「なぜ天井材を貼るか」ですが、天井内での美しくないと思われている構造部材や、設備部材、断熱材等のごちゃごちゃを隠すためです。他にも空間容積を制限し空調負荷の低減を図ることや、火災時の煙をコントロールすること等もありますが、それらは天井がなくても工夫次第で解決できます。

やはり、一番の目的は、天井内のごちゃごちゃを隠すためだと考えます。

時代の流れにより、変わりつつある天井の考え方と、天井の有無ですが、天井材がなくなった場合でも美しい天井は沢山存在します。そんな天井のない天井デザインについて、実現するためのポイントについて、まとめてみました。

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美しい天井のない天井をつくるポイント

建築法規の考え方(取り扱い手法)

その建築物に要求される法令によって、天井デザインに影響を及ぼす要因が変わってきます。

まずは、内装制限ですが、天井面への不燃化の要否です。石膏ボードは厚みによって準不燃、不燃が変わってきますが、基本的には内装制限の要求に耐えうる材です。

木材等の可燃性の材については、内装制限の要求される建築物では使用することができませんが、技術の発達により、最近では不燃処理した木材等も各社開発され使用できる木材も存在します。若干色が不自然ですが、一般の方にはわからない程度です。

それら天井材を貼るために内装制限に悩むことになりますが、天井材がなければ、鉄骨造、RC造であれば、殆どの場合にコンクリートスラブがありますので、不燃化への法令は自然に解決されます。

次に、建物規模が大きくなってきますと自動火災報知器の感知器を天井内に設置する規定があります。天井内に感知器を設置すると、感知器を点検する際の点検口が必要となってきますので、天井点検口の多い天井面となります。

感知器設置を免除する方法
天井内の感知器設置を免除する方法として、主要構造部(柱や梁等)を耐火構造とすることで免除することも可能ですが、木造や鉄骨造の場合、コストアップの要因となり、容易に耐火構造とはできません。点検口を目立ちにくい枠なしのデザインとすることも可能ですが、それでもやはり無しとはできません。

そこで、天井材自体をなくすことで、天井面全体どこからも点検可能となります。

次に排煙設備についてです。

排煙設備の基準では、天井面より80センチ垂れ下がった位置までが、排煙上有効な開口として規定されています。よって、天井面の設定が重要となってきます。

ただし、天井がなく、上階のスラブまで吹き抜けていると天井高さが自然に高くなり、先程述べた排煙有効上有効な開口が取れなくなりますが、火災時の煙から避難を考えた時には、有効となる場合があります。

火災時には、天井面に有害な煙が滞留し、時間が経つにつれ煙の滞留範囲が下がってきます。煙に巻き込まれずに避難できるよう、排煙の規定があるわけですが、その煙の滞留容積が大きく、避難するまでに煙に巻き込まれないのであれば、安全であると判断できます。(建築基準法では、避難安全検証法で規定されています)

よって、天井がなければ火災時に天井懐に煙が滞留する容積が確保され、火災時の避難にも効果的であることが計算することができます。

注意:天井懐が少ない場合は、計算上NGとなる場合もあります。

法令上、排煙設備が不要である建物についても、同様の考え方ができます。天井懐が深い方が、火災時の避難には有効に働くことは間違いありません。

建築設備機器

天井面の照明デザインについては、別のつぶやき回でも記載しましたが、天井がない場合についての、照明や空調機器等の建築設備機器を設置するポイントについて解説します。

照明デザインについては下記事でつぶやいています

まずは照明のデザインですが、照明を設置する場合は、高さと照明器具にポイントがあると考えます。

天井がない場合は、天井懐が見えてきますので、構造部材や配線、設備ダクト等の乱雑な建築材も見えてきます。それらの存在をうまく消し去る方法として、照明器具位置を少し下げて、照明より上部は暗くする方法です。

また、照明器具より上部は照らされないような傘付き照明等の照明の下面だけを照らす器具を採用すれば、天井内のごちゃごちゃは目立ちにくくなります。

次に、空調についてです。

住宅では、壁掛けのルームエアコンが一般的ですが、規模が大きくなってきますと、パッケージ型もしくはマルチ型天井カセットエアコン若しくはダクト式のブリーズライン方式が一般的となります。

壁掛けのルームエアコン以外は、原則天井面に何かしらの吹き出し口、吸い込み口が必要となります。その吹き出し口、吸い込み口を出来る限り目立ちにくくする為に、ダクト方式により建築に隠してしまう手法を検討します。

天井をなくしてしまうと、それらは全て見えてくることになります。隠しようがなくなった空調機器類ですが、一番簡単なのは、これらは割り切って見えても良い事とします

出来る限り乱雑にならないように計画し、ダクトや機器は暗くなる天井内で存在感を消すように黒く塗装すれば、それほど気にならなくなります。

換気についても空調同様ですが、一点工夫が必要となります。設置する位置がいつも通りの天井面に設置すると、冬場の暖かい空気が天井内で滞留してしまい、暖房の効きが悪くなります。天井内も含めた全体を空気が流れる位置に換気口(全熱交換機)を設置することで、暖房時の温度の偏りについても解消することが出来ます。

ただし、気をつける必要があるのは、埃たまりとなる部分を作ってしまわないようにする必要があります。また、埃がたまりそうな所があれば、そこは避けて空気の流れを考える必要があります。
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まとめ

天井のない天井デザインについては、耐震性安全面が有効なだけでなく、法規的な側面からも有効なところもあり、経済性の面でも有利となります。

建築設備面についても、工夫することで天井がなくてもデザインすることが可能となります。

天井面が高ければ開放感が生まれ、空間的には豊かになります。単純に天井高さを上げると階高が上がりコストアップ要因となりますが、階高はそのままで、天井をなくすだけで空間の容積は大きくなり、コストは逆に下がることにつながります。

建築的な工夫と技術力が必要となりますが、天井のない天井デザインは経済面、耐震面、法令面、デザイン面でのメリットが沢山ある手法であり、検討の一つに加えるべき内容で、今までの「石膏ボードにクロス」の当たり前の風潮から新しい流れがくる感じがします。

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