間取り図・販売図面作成・制作の外注・代行は間取職工所 【下請歓迎】

【建築士つぶやく】巾木(はばき)の役割とデザイン手法

図面制作スタッフ

壁と床の境目となるところに取り付く建築部材「巾木(はばき)」。部材も小さく、普段はほとんど気にならないところだと思います。

 

 

そんな巾木ですが、少し変えるだけでインテリアの雰囲気をも変え得る建築アイテムで、小さい寸法で大きな影響を与えます。設計者の中でも意外と気にされていないところでもありますが、材質や高さ寸法、凸型や凹型、色を変えたり、照明を組み込んだりと意匠上の手法は様々で、インテリアに合わせた計画をすることにより、その空間をより美しく上品に演出してくれます。

今回は巾木のあれこれについて解説していきたいと思います。

 

 

※このサイトは広告が含まれております。リンク先の他社サイトにてお買い求めの商品、サービス等について一切の責任を負いません。

巾木の役割

そもそも「巾木の役割とは」ですが、大きく2つあります。

一つは、隙間隠しの役割です。

壁と床は違う材が取り付くことになります。その為、施工上、数mm程度、壁と床は少し隙間が出来て仕上がります。ピッタリ違う材を重ねることが難しいことと、材質によっては温度や湿度による部材の伸縮があり、それらの伸縮を考慮にいれて数mm隙間をあけて仕上げます。壁材と床材の隙間を隠すために巾木を取り付けます。

もう一つは、壁面下部のクッション材です。

壁面下部は、いろんなものがぶつかり得る場所です。掃除の時に、掃除機等が壁面下部にぶつかります。また、扉付近では、人の足がぶつかることもあります。そんないろんなものがぶつかり得る場所を補強する意味合いと、汚れが目立ちにくくする意味合いがあります。

こうした役割が必要なため、一般的には木製で高さ60mm~100mmの頑丈で汚れの目立ちにくい材が選ばれます

 

 

木製巾木と白い壁面に取り付けますと、インテリアが普通の洋室っぽくなります。そこで、巾木の色を壁面と合わせて白くする等の工夫が施されますが、白くすると汚れが目立ちやすくなるので止めておきましょうと言う意見もあります。

はたして、本当に汚れが目立つことになるのかですが、一昔前であれば、雑巾がけをしたり、掃除機もかなり大きなもので、吸引力もそれほどなかったりしましたので、隅々まで掃除しようとガンガンぶつけて掃除をしていたと思います。

それでは、やはり壁面の下部は汚れてしまうことになりますが、現在は、そんなガンガン掃除機を振り回さなくとも、吸引力が強くなることで、ある程度きれいに掃除できます。また、掃除型ロボットが優しく掃除してくれる家庭も増えてきているのではないでしょうか。

汚れに関しては、それほど気にしなくてもよくなって来ていると思われます

ただし、壁面と床面との隙間隠しの役割としては、やはり必要で何かしらの巾木が必要となります。そこで、最近よく見られるのは、隙間を開けたままとする手法です。
 

透し目巾木

壁面と床面の隙間は施工上、数mm隙間が空きます、それを隠すために巾木を設置しますが、その隙間をあえて大きく15㎜程度とすることで、隙間が巾木代わりとなります

 

 

その隙間は壁面ボードの端部の切れ端が見えて来ますので、それを綺麗に見せるように、小さな部材(見切り材やアングル等)で隠すようにします。

当たり前のように見えていた60mm〜100mmの巾木がなくなることで、かなりスッキリした印象となります。また、壁面よりも内側で凹むことにより、ほこりがたかる心配もありません。

その隙間寸法を15mmとするのか、もしくはもう少し大きく20mmとするのかでも雰囲気は異なって来ます。この寸法は、天井高さ(壁面の高さ)によっても変わって来ますので、その計画に合わせて寸法を調整していきます。

 

照明を組み込む

巾木に照明を組み込むことで、夜間のフットライトがわりにも使用できます。照明も普段は巾木の中に隠れていますので、インテリアもかなりスッキリします。

 

 

最近の照明機器はLEDが主流で、巾木のような小さい部材の中でも簡単に取り付けられるようになりました。

 

あえて出して見せる

木目の優しい雰囲気を出すために、あえて巾木を出っ張らせる手法もあります。こちらについては、デザイン上の好みもありますが、施工上も容易で、汚れの心配もない一番安全な納まりとなります

 

 
ただし、出っ張りすぎると今度は裸足で指を当ててしまう恐れもあり、出っ張り過ぎるのはあまり避けた方が良いと思います。あと、ほこりがたかることにもなりますので、こまめな掃除が必要となります。
 

巾木なし

完全に巾木を無くしてしまう手法です。これは、かなり思い切った手法ですが、壁面に何も取り付かせず、壁面をとにかく綺麗に見せる手法です。

 

 

壁面と床面の隙間は、床面にすることで、壁面は非常に綺麗に見えますが、床面の隙間は、ほこりやゴミが溜まってしまいます。こまめに掃除する必要があるので、家庭用には向いていないと思われます。

 

まとめ

建築部材の中では、特に小さい部材で、特に気にされていない方が多いと思われる巾木ですが、実はデザインの巾も広く、それにより、インテリア全体に及ぼす影響も大きい部材の一つです。巾木を見せる、隠す、機能を付加する(照明を組みこむ)等、手法は様々で、見え方が大きく変わってくると共に、掃除の方法も変わってきます。それらを考慮した上、その建築に一番適した巾木のデザインを組み入れていく必要があると考えます。

 

建築士つぶやくの記事一覧

※タップで各記事ページが開きます。

スケルトン天井平屋は横長プロポーションが美しい自然と人がつながる建築庇の効果橋梁デザイン建築に木を使う有効性ぬるっとした建築耐震安全性の構造部材を活かしたデザイン浮遊感のある建築側溝のデザイン手法4選玄関アプローチに使う床材ガラスブロックしっとりを感じる建築手すりの端部のこぎり屋根の建築ドアノブの色と素材蛇篭をつかった建築オフィスの木製カウンター老いる建築モルタルとコンクリートエクステリアの照明軽やかで透明感のある階段心地よい低い天井金属系の外壁サウナコンクリート打放しの仕上げ谷口吉生の建築ペンダント照明エクステリアと日本の風景オフィスグリーン門構え木目天井間接照明樹種の違い低い重心の空間通路のデザイン透過と反射アルミを使った建築ゆらぎを感じる素材曲線を用いた建築タスクアンビエント照明バイオフィリック書棚シューズクローク大階段駅の建築トラス構造ハイサイドライト玄関ドアコンクリートブロック電柱のある風景とない風景コンクリートと木とレンガベンチや椅子木造建築物の工法いろいろ内藤廣の建築窓周りの省エネ化植物が似合う建築インテリア仕上げ金属屋根スロープを組み入れた美しい建築隈研吾の建築サイディング外壁材安藤忠雄のコンクリート打放しマンションリノベーション建物の色彩計画軒のない屋根デザイン斜面地環境配慮薪ストーブ鋼製扉インテリアグリーンタイル水盤スターバックスパンチング(孔あき加工)パネル中高層ビルのファサード美しい傾斜天井美しい温泉建築畳のデザイン外構照明のデザイン土間、板の間、畳の間の和の床材照明や太陽の光坪庭京町家の魅力フローリングの魅力水を屋内に取り込む建築技術モチーフを纏った建築窓の種類別デザインダブルの外皮乾式外壁材平屋建築建物緑化木製建具金属の意匠吹き抜け空間消防署道の駅舗装緑化コーナー部手すり木質空間巾木建具枠水切りコンクリート打放し住宅杉板の外装材天井のない天井キッチン工場建築格子サイン屋根ガラスお風呂見切り階段天井と照明雨水を見せる方法
 
 
ニックネーム
one archi

現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。

自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

 

間取図大好きな貴方への一冊!

職工所スタッフ厳選のよく売れている間取図の本を集めてみました。下の記事では、専門性や参考度などをランキング化(★5つ)して紹介。 間取り図の本おすすめ人気ランキング11選も参考に‼

↓タップしてAmazonで確認する↓

 

 
 
 
 

く読まれている記事

 

取職工所カテゴリ

タイトルとURLをコピーしました

\制作現場のつぶやき/

制作現場の声TOPはコチラ