耐震安全性から導き出される構造部材を活かした建築デザインがあります。わかりやすい例としては、外部に配置される鉄骨ブレースや制振ダンパーをデザインに組み入れる建物です。
建物の耐震工法としては、大きく以下の3つに分類できます。
- 耐震構造
- 制振構造
- 免震構造
それぞれの耐震工法によって、構造部材の特性によりデザインの導き方が変わってきます。
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耐震構造のデザイン
耐震構造は、地震の揺れに耐える様に柱や梁を頑丈なものに設計するものです。そのため、耐震・制振・免震構造の中では、最も柱や梁のサイズが大きくなる傾向があります。また、柱への影響を緩和するために、耐震ブレースや耐震壁を配置します。
耐震構造の特徴としては、頑強な柱や梁、耐震壁などが配置されるため、比較的マッシブなイメージとなります。ただし、耐震改修では、建物の重量を軽くすることで、柱や梁への負担を少なくすることもできるため、既存の外壁や屋上躯体を減築し見た目も軽くデザインされる耐震構造もあります。耐震改修例のなかには、建物周囲をワイヤーで地面に固定することで地震時の揺れを抑え、建物自体の構造体の損傷を防ぐものもあります。
制振構造のデザイン
制振構造の特徴は、建物の構造部材に制振ダンパーを設置し、地震の揺れをダンパーによって制御し建物の揺れを緩和するものです。耐震構造の建物に比べ、柱や梁のサイズは小さくできる傾向がありますが、ダンパーの費用はコスト的に耐震構造よりも高くなります。制振構造の場合は、ダンパーの費用対効果の観点から5,000㎡以上の中規模以上の建物に採用されています。
また、高層ビルなどの上層になるほど揺れが大きくなる建物に有効な構造であり、建物の上層にいる利用者が揺れを感じにくい構造となることも特徴です。制振ダンパーは柱・梁に斜めに取り付けられるもので、外観や内観のダンパーをデザインにどう組み入れるかが肝となります。
制振構造が分かりやすく見られる例としては、以下の静岡県庁があります。
免震構造のデザイン
免震構造は、地盤側の構造と宇宙側の構造を切り離し、地震の揺れを建物に伝えないようにする工法で最も安全性が高い工法と言われています。そのため、庁舎や消防署などの災害時での重要施設に採用されることが多く見られます。その分、コストも耐震・制振・免震の3つの中で最も高くなります。デザインの特徴としては、地盤側の構造と宇宙側の構造の切り離す部分をどのように処理するかにかかっています。
例えば、基礎部分で構造体を切り離すと、建物周囲に建物の揺れを逃がすスペースを約60cm程度確保する必要があり、一般的には植栽帯などの人が行きづらい構造を計画します。また、基礎ではなく中間階で切り離す場合もあり、切り離した階は同様に可動できるような構造にする必要があり、デザイン上もその上下階で切り分けた外観を形成する場合が多く見られます。
こちらの例が、中間階で免震を計画した中之島フェスティバルタワーです。構造上切り離した上下階で、うまくデザインも切り替えしている例です。免震構造は、古い建物のデザインに影響を与えることなく耐震性が確保できるため、古い建物の耐震保存にも活用されている例があります。
この中之島中央公会堂も、耐震保存するために免震構造での改修が採用されています。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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