天井材を貼らず躯体をそのままデザインするスケルトン天井は、商業施設だけでなくオフィスや公共施設まで、様々な施設で採用されています。一昔前では、天井内の配管や設備類をそのままあらわすことに抵抗があり、天井材を貼ることが一般的でした。最近では、梁などの躯体がそのままで、配管類が見えることへの抵抗感が薄まり、その乱雑さが意匠的に活かされてきている感じがします。
天井材を貼らないスケルトン天井のメリットは以下の3点です。
- 耐震安全性が高まる
- 設備点検が容易
- コストを抑えることができる
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【スケルトン天井のメリット1】耐震安全性が高まる
建物自体は地震時に崩壊しなくとも、天井材が落下し人が怪我する事例があります。阪神大震災以降、それらの構造部材以外でも耐震安全性を確保するために、国土交通省は、平成8年に「官庁施設の総合耐震計画基準」及び「官庁施設の総合耐震診断・改修基準」を地震防災機能確保のための技術基準として制定しています。
天井材の耐震安全性については、上記の官庁基準で以下の点が重視されています。
- 地震時に天井材が落下しないように強固に固定する
- 天井材を軽量なものとし、地震時の揺れを軽減する
- 天井材を貼らない
上記3点のうち、「天井材を貼らない」が最も簡単に耐震安全性を確保できる対策です。天井を貼らなければ、地震時の揺れが加わる荷重もなく落下する物自体がないため、最も安全です。
【スケルトン天井のメリット2】設備点検が容易
天井内には、空調設備・換気設備・電気設備・通信設備・消防設備など、様々な設備類が隠されています。一般的には、天井の要所に点検口を設け、設備を点検できるように計画されます。天井点検口は45cm角もしくは60cm角となり、設備点検時はその大きさのなかで点検することになり、かなり狭い中で点検することになります。天井を貼らないスケルトン天井であれば、設備類がそのままあらわれていますので、どこからでも点検できます。
【スケルトン天井のメリット3】コストを抑えることができる
天井材を貼らないことで、天井下地材及び天井材の費用が不要になります。ただし、空調負荷が増える為、空調のグレードアップを要する場合は逆にコストアップの要因となります。また、天井を貼らない場合、天井材を黒く塗装することや、吸音性を高めるために躯体スラブに吸音材を貼り付けることをするとそれ程コストは下がらない場合もあります。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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