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【建築士つぶやく】気候・風土による「屋根」のデザイン実例

図面制作スタッフ

美しい日本の風景です。日本建築の美しさは屋根のデザインによるところが大きいように思います。地域によって形状、材質、工法が変わっていて、その地域の気候・風土の特徴がよく現れています。そんな目線で地域の屋根を見てると、面白い発見が沢山あります。地域による屋根デザインの特徴から、日本の伝統的な風景を作る仕掛けについて読み解いていきたいと思います。

また、美しいと感じられる屋根デザインは、地域の風土を表すだけでなく、機能的なところもあります。そんな風土・機能・美を表す屋根デザインについて、実例を交えて解説していきたいと思います。

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気候・風土による屋根デザイン

寒冷地での屋根デザイン

寒冷地と、その他の地域での屋根の設計手法は大きく異なってきます。積雪による建築被害や、人命被害にも屋根のデザインが影響してきます。それらを解決すべく様々な工夫が屋根に施されていますので、紐解いていきたいと思います。

まずは、勾配屋根からですが、寒冷地では屋根面からの落雪を想定し設計することなります。屋根勾配を急勾配にし、雪が屋根面に積雪しないようにする手法と、緩勾配にして雪止により落雪を防止する手法があります。

現在の技術では、積雪量に対して構造的に積雪荷重に耐え得る設計が可能ですが、木造が主流だった頃は積雪により建物が崩壊しないよう急勾配にすることが多かったものだと考えられています。

また、豪雪地帯では屋根面からの冷気をできる限り緩和するよう屋根の断熱性が非常に重要であったことから、茅葺屋根が主流になったと考えられています。最近では、技術の発達により融雪設備や暖房設備が整ってきており昔ながらの茅葺屋根がほとんど見られなくなってきております。ただし、いくら設備が整ったとしても寒冷地では注意すべき設計の内容がありますので少し紹介したいと思います。現在では、技術や設備の発達により必ずしも屋根面を急勾配にする必要はありませんので、勾配は自由に設定できます。

屋根勾配を急にすればするほど、建物高さ、容積が大きくなりますので、その分コストアップ要因となります。逆に、緩い勾配にすると、重い雪を屋根面に堆積させることになりますので建物への構造負担が大きく柱・梁のサイズがアップすることでコストアップ要因となります。

一般地域の建物に比べると寒冷地の屋根は、割高にはなりますが落雪への対応として、勾配での落雪対応を施す必要があります。

豪雪地では、気温や積雪状態によっては屋根面の雪が一気に滑落することがあるので、屋根からの落雪範囲を想定し、隣地からの適切な後退距離を確保する必要があります。また、落雪範囲内には掃き出し窓、出入り口、通路、駐車場、植栽等の設置は避ける計画とします。

さらに、勾配屋根の軒先と外壁面との距離が十分でないと、軒先に形成されたツララ、巻き垂れ、雪庇等が落下し、外壁面や開口部を損傷することがありますので、軒先と外壁面との距離は十分なゆとりをもたせる必要があります。

寒冷地の陸屋根でのデザインとしては、積雪量と風の状況により、特定方向にパラペットから雪がはみ出す雪庇ができ、これが落下して人や車両に危害を及ぼすことがありますので、パラペットの立ち上がりを高くすることで雪庇の形成を少なくします。

また、雪庇ができにくくする工夫として、パラペット上部に風の抵抗を大きくする水平ルーバーを設置し、その部分の風速を早めることにより屋根端部の積雪を抑えるデザインもあります。

温暖地での屋根デザイン

次に温暖地沖縄での屋根の特徴です。沖縄では、台風が頻繁にくる気候ですので、屋根の瓦が飛ばない工夫が施されております。一般的には赤瓦のイメージが強いと思いますが、台風への対策として漆喰が使われています。

一般地の瓦については、野地板に土を盛り、その上に瓦を重ねながら敷き詰めていきます。それだけでは、沖縄のような暴風が頻繁にくる地域ですと、重なりあった瓦部分に風が入り込み、瓦を吹き飛ばす恐れがあります。

その為、瓦の重ね部分に漆喰を使用し、瓦をしっかり固定し、さらに風の入り込む隙間をなくすことで暴風雨への影響を最小限に止める工夫が施されたデザインとなっています。沖縄のイメージが強い赤い瓦は、着色されたものではなく、低温焼成の素焼きで出来ています。一般地で見られる瓦は釉薬を混ぜ高温で焼き上げて燻製しますので黒く吸水性が低い瓦になりますが、素焼きでできてる為、色も土色となり、吸水性が高いのが特徴です。

素焼きのレンガと同じ作り方ですので、レンガをイメージしていただければわかりやすいかと思います。素焼きは多孔質で吸水性が高くなります。吸水生が高くなると雨が染み込んでしまうので、寒冷地では凍害の原因となり使用することが出来ませんが、沖縄の場合は、凍害を受けることはない為、使用することが可能となります。

さらに、吸水性の高い材の場合、暴風雨の際は重くなり風に飛ばされにく、スコールのように雨が止んだ後は、一気に高温状態になりますので、吸った水分が蒸発する際の気化熱により涼しくなることから、沖縄のような温暖地では、土色の素焼き瓦(赤瓦)が理に適ったデザインとなっているのです。

一般地域、瓦のデザイン

次に一般地域では「瓦」に地域の特徴が表れてきます。現在国内では、代表的な瓦の産地として、三州瓦淡路瓦石州瓦があります。

昔の建築は、重量物を運搬することが難しかった為、建築材料も地産地消でありました。

瓦の産地も各地にありましたが、運搬技術が発達し、現在では、この3つの代表産地が国内の7割以上を占めているようです。瓦の特徴としては、原材料となる土と、土に混ぜ込む釉薬によって色や物性が変わってきます。

三州瓦事例

三州瓦が今も残っている理由としては、良質の土が取れる地域であることと、日本の中心で東西への運搬に有利なところであります。

良質な土が取れることでも有名なものとして、瀬戸焼きがありますが、三州地方で取れる土は、使用温度範囲が広いのが特徴で高温で焼き上げることが出来ます。その為、耐火性に強い瓦が出来上がります。

淡路瓦事例

淡路瓦は、いぶし瓦に適した粒子の細かい独特の「なめ土」が産出されたことから全国有数の瓦の産地となり、見た目の美しさからいぶし瓦の生産量は日本一位となっております。


石州瓦事例

石州瓦は赤褐色の景観が特徴的です。来待という釉薬を使用することで赤褐色の瓦になり、高温で焼かれて製造されております。

耐火性があり非常に硬く丈夫な瓦で、塩害や凍害にも強く、寒い地域や海岸沿いの地域には特にこの石州瓦が使用されています。
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まとめ

最近は防水性能の高い工法が次々に開発され、様々な屋根形状にすることが可能となりました。また、屋根に使われる素材も、茅葺、木、石、レンガ、瓦、スレート、コンクリート、金属と技術の発達と共に変化してきています。その地域の気候・風土を読み解き設計する必要がなくなりつつあるため、日本の伝統的な風景が変わりつつあります。

時代は変わり、その時の建築技術がその時代の風景を作っていくものだと思いますが、日本の伝統的なデザインは正しく引き継がれ気候・風土に適したデザインで美しいその地域の風景を創っていくことが設計者・建築家の使命だと思います。

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ニックネーム
one archi

現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。

自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

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