建物の屋根の種類は、瓦・石・スレート・金属・アスファルトなど沢山ありますが、日本だけでなく海外を含め、現在では金属屋根が採用されている場合が多く見られます。建物の規模や用途によっても、屋根の考え方は異なってきます。
例えば、ビル建築や公共建築など規模の大きな建物であれば、経済性・メンテナンス性・耐久性などを考慮し、コンクリートの陸屋根が採用されることが多くなります。コンクリート屋根への防水は、技術の進展による防水の信頼性が比較的高くなってきていることで、勾配を緩く抑えることができ建物全体の高さも抑え経済的に有利となります。また、陸屋根にしておくことで将来のメンテナンスも容易となることから、規模の大きな建物には勾配の付いた金属屋根が少ない傾向となります。
ただし、景観上の理由から規模の大きな公共建築物でも勾配の付いた金属屋根を採用する場合もあります。一方、戸建住宅の規模の場合は、構造躯体が木造となる場合が多くなります。木造の場合はコンクリートの陸屋根とするメリットが少ないため、勾配の付いた金属屋根を採用することが多くなると考えられます。
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金属屋根の種類
金属屋根の種類については、屋根の葺き方と屋根材の2つの考え方があります。
金属屋根の葺き方
まずは屋根の葺き方ですが、折板・縦葺き・横葺き・フラット葺きなどがあります。工場などの大面積に適しているのが折板です。
折板は、鉄板を折り曲げて成形しているためそれ自体に強度があり、長いスパンを一枚でかけ渡すことが出来ることが特徴で、下地に野地板や母屋などの屋根材を葺く為の材が不要となることから、出来る限りコストを抑えたい工場や倉庫・駐車場によく採用されます。
次に、縦葺き・横葺きの金属屋根です。
こちらは、折板とは異なり屋根材自体は薄い鉄板だけですので、下地材として野地板や母屋が必要となりますが、見た目が折板に比べて優しい印象がある為、戸建住宅では最も多く採用される屋根の種類でないでしょうか。
最後にフラット屋根です。
フラット屋根は、特殊な形状に対応することが得意な葺き方です。ドーム形状の曲面屋根の場合は、折板や横葺きでは対応することが難しく、フラット屋根での対応となります。
金属屋根材の種類
金属屋根材に使われる種類としては、鋼板・亜鉛メッキ鋼板・アルミ・ステンレス・チタン・銅などがあります。最もコストが安いのが、鋼板となります。鋼板は塗装が剥がれるとすぐに錆びてしまうため、長く使う場合は定期的なメンテナンスが必要となります。最も一般的に多いのが亜鉛メッキ鋼板です。亜鉛メッキ鋼板は、鋼板製のものに比べると錆びにくい性質があり耐久性が高くなります。
また、一般的に流通している量が最も多い為、コストもそれ程高くないのが特徴です。最近よく耳にする『ガルバ』と言われるものも、この亜鉛メッキ鋼板の中に含まれます。アルミ・ステンレス・チタン・銅については、全て自身で不働態被膜(緻密な表面錆)をつくり、それ以上錆びにくくする性質を持った金属で、耐久性は鋼板や亜鉛メッキ鋼板に比べて高くなります。そのため、コストもかなり高くなる傾向があります。高級な建物や、建物の性質上高い耐久性が求められる建物に採用される場合がありますが、一般的には、コストが高いためあまり採用されません。
最も一般的な亜鉛メッキ鋼板屋根の縦葺き・横葺きのデザイン
金属屋根の種類は、上で挙げたように沢山ありますが、経済性や意匠的な観点から最も一般的に採用されているのは、亜鉛メッキ鋼板の縦葺き・横葺きの金属屋根です。では、亜鉛メッキ鋼板の縦葺き・横葺きどちらがよいか。勾配の自由度、経済性の観点から、縦葺きが選ばれることが多いと思われます。
横葺きの場合、最低勾配は2.5寸程度となります。縦葺きの場合はもっと緩い勾配が可能です。建物の高さを抑えるデザインにしたい場合や、少しでも高さを抑えコストを抑えたい場合は、縦葺きとなります。
横葺きはデザイン的に、縦葺きに比べておおらかなイメージとなります。また少し和を感じられるイメージです。また、積雪が考えられる地域では、縦葺きの場合一気に雪が塊となって落ちてくることが考えられますが、横葺きの場合は、徐々に雪が切れて落ちてきます。デザイン性の観点や、落雪などの観点から横葺きの屋根が採用されることがあります。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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