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【建築士つぶやく】ダブルの外皮(外壁)にする意図

図面制作スタッフ

建物の外皮(外壁)は、建物を外的要因である雨風を防ぐ役割がありますが、その外皮の更に外側にもう一重外皮を設ける場合があります。設ける意図は、その建物によっても異なります。商業施設等であれば、デザインを前面に出すためのサイン的な役割が大きいですが、公共施設であれば、地域性の表現、快適な温熱環境、日射遮蔽、視線配慮などの観点からダブルの外皮が採用される場合があります。予算をかけてまで、外皮をダブルにする意図について掘り下げたいと思います。

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ダブルスキン

ダブルスキン、直訳すると2枚の肌、建築的には2層の外皮となります。ダブルスキンは、主に温熱環境を整える役割を担っていますが、その他に空間を広く確保するための構造的な役割と騒音低減の役割もあります。

温熱環境の役割

省エネ性能向上や環境負荷軽減等、様々な技術が巧みに建築に採用される中で、スキン(ガラスや外壁)を2層にして、その2層のスキン間に換気システムを組み込む「ダブルスキン」があります。

近年では、高層ビルに快適な温熱環境を実現するためにダブルスキンの採用が進んでいますが、日本で初めての導入は1962年竣工したNCRビルディング(設計:吉村順三設計事務所)です。当時は、Low-Eガラス等の省エネガラスのない時代で、建築的な計画により快適な温熱環境を実現していました。

ガラスとガラスの間を外の温熱環境を利用した換気システムを組み込むことで、生き物のように、建築の外皮に外界の変動の影響を縮小する能力を持たせることが意図されており、当時としては画期的なもので、現在もそのシステムが高層ビルで採用されています。

その他のダブルスキンの役割

建築では、主に温熱環境の観点よりダブルスキンを採用される一方、鉄道業界でも、車両の外皮にダブルスキンが採用されています。鉄道車両のダブルスキンは、外皮を構造的な役割を持たせる為、2層のスキンの間にトラス状の補強部材が入っており、柱や梁等の構造が出ない仕組みで社内を広く確保する工夫として採用されています。また、鉄道車両は外皮を2層とすることで、外部の騒音を影響を抑える役割もあるようです。

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日本的な気候から導き出されるダブルの外皮

日本の建築では、ガラスが使われていない時代から、採光と換気確保しつつ、雨風から建物を守る手段として、ダブルの外皮を取り入れていました。 

障子と雨戸

雨が多い日本では、昔から軒の張り出した屋根形状が多く、雨を防ぐ意味合いでは比較的緩く障子と雨戸だけで、外界と区切られていました。障子は、全て開けると外部の光を直接取り込みますが、軒が深い為、地面に跳ね返った柔らかい光に変換されて入ってきます。障子を閉めると緩やかに光を入れ、外部の視線をカットします。雨風がある時だけ雨戸を閉めます。ダブルの外皮を開けたり閉めたりすることで、外界の変動の影響を抑える仕組みは、現在のダブルスキンに通じる所があります。

外と内の中間領域「縁側」

日本の軒下空間は、物理的には区切られていませんが、温熱環境や採光的には、完全に外や内ではなく、曖昧な中間領域となっています。その曖昧な中間領域である「縁側」は、夏の暑い季節の時には、深い影となり涼しくなった風を室内に運び、温熱環境を整えてくれます。また、深い影を落とすことで室内が暗くなり視線カットのブラインドにもなります。

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建物に統一感を出す意匠

デザインを整える場合、意匠的に解決する手段として採用する場合と、構造的に魅せるように採用する場合があります。

意匠的に解決する手段

建物は、内部の用途や機能によって形造られることが多くあります。異なるボリュームが連続する場合や、開口部が乱雑に並ぶ場合等、建物に統一感がなく外観が整えたい場合、外壁の外側にもう一層外皮を設けることがあります。外壁や開口に大きな影響のない範囲で、比較的自由にデザイン出来る為、意匠的な役割が大きく影響する建物場合は、非常に有効な手段となります。

構造的にデザインする手段

内部の空間を有効に使いたい場合や、内部に影響せずに構造を補強をする場合に、柱や梁等の構造的要因となる部材を外部に出してデザインするアウトフレーム手法があります。構造体として魅せることで、圧倒的な力強さを表現することが出来ます。

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まとめ

ダブルの外皮は、最近の温熱環境を整える技術や、サイン的な意匠重視のイメージがありますが、日本の建築では、ずいぶん前から、日本の気候や住まい方に合わせて外界の変動の影響を小さくするために取り入れてきた技術です。それらの外界の影響に対する技術で、外観が自然と整う様子はどこか日本的な美しさを感じます。

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ニックネーム
one archi

現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。

自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

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