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【建築士つぶやく】「石」を使った美しい建築デザイン実例

神勝寺

ゴツゴツした石が海をイメージさせ、伝統的なこけら葺きで全体を包んだ舟型の建物が石の海に浮いているように見えます。自然の中に溶け込んで非常に美しいですよね。

一般的には、石張りの建築でイメージするのは、国会議事堂や高級マンションのゴテゴテしたようなイメージはないでしょうか。または、高級住宅の床材にピカピカに貼られた大理石が使用されているイメージであまり良い印象がないように思われます。

石を使った建築は意匠的に重くなりがちですが、使い方によっては洗練された美しいデザインの建物も存在します。

今回は、そんな石を使った美しい建物の事例と石材の種類、特徴についてまとめて見ましたので参考にして頂ければ幸いです。

せとうち美術館

凛とした中にも、堅牢さも感じられる美術館に相応しい美しい佇まいです!

瀬戸内海に面した立地で、瀬戸内海のブルーグリーンにリンクするように、青みがかったグリーンの外壁は玄昌石が使用され、無機質なRC打放し面との組み合わせも綺麗です。

玄昌石は、堆積岩のスレートという石種で、泥岩が層状に堆積した石で吸水性が低くく耐候性に優れている為古くから屋根材や床材に利用されてきたようです。濃いグレーやグリーンの表面に細かい筋が波のように流れた肌合いをしていて、水に濡れるとより黒さが鮮明になります。

瀬戸内のブルーグリーンのイメージと、層を重ねて作られている石を採用することで、周辺環境と調和し、展示される美術品の歴史も感じられ、勉強してから見ると更に美しく感じます。

京都国立博物館

次に京都の国立博物館です。先程の瀬戸内美術館と同じ設計者の谷口吉生さんの作品です。こちらも、京都ならではの伝統を感じさせる日本的なデザインで、常に新しいものを取り入れてきた京都の革新性も表現されています。

適切な材料が、適切な位置に、正確に配置されることで、比類なく美しい空間が実現されています。

床には耐久性の高い花崗岩(ジンバブエブラック)バーナー仕上げが使用され、壁には堆積岩であるライムストーン(ジュライエロー)水磨き仕上げが使用されています。

ライムストーンは長い年月の堆積をイメージさせる京都らしさも感じさせてくれます。

ここで石の種類について、建築にどうアプローチさせるかの視点で紹介していきたと思います。

石の種類について
1、マグマが冷え固まってできる「火成岩」
2、水中で泥や砂が堆積してできる「堆積岩」
3、上記の火成岩や堆積岩が熱や圧力などにより再結晶化した「変成岩」

大きく分けて以上の3つの種類があります。


1、火成岩

火成岩は、地上もしくは比較的浅い地下で固まった「火山岩」と、地下深い所で固まった「深成岩」に大別されます。

火山岩には有名な安山岩(鉄平石等)がありますが、融点の違いや含まれる鉱物によって色が変わってきます。

鉄平石①

鉄平石②

流紋岩(白っぽい)→安山岩(中間)→玄武岩(黒っぽい)

灰褐色のものが多く、光沢はほとんどないのが特徴です。
有名所の鉄平石については、板状節理(ばんじょうせつり) により人工的に板状にした石ではなく層状に剥がれる性質があり、剥がれた面の自然な風合いが特徴で板状に使用する石材としては魅力的な材です。

ただし、安山岩は比較的吸水率が高いため外壁に使用する際は注意が必要です。

(添付写真−4鉄平石イメージ)

深成岩には有名な花崗岩(御影石)があります。火山岩と同じく含まれる鉱物等によって色が変わってきます。

花崗岩(白っぽい)→せん緑岩(中間)→班れい岩(黒っぽい)

花崗岩は神戸市の御影が有名な産地だったことから、その地名をとって「御影石」と呼ばれているようです。花崗岩はまだら模様が特徴的で、緻密で吸水性が低く、耐久性が高いため、外壁材への採用が多く見られます。

国会議事堂(花崗岩)

国会議事堂の外壁にも花崗岩は採用されています。

(添付写真−5花崗岩イメージ国会議事堂)


2、堆積岩

主に海中で砂や泥などが堆積したものが、長い時間をかけて押し固められて岩石になったものです。

堆積岩は、粒子の大きさや含まれる成分で分類されます。
建築用に使用されるものの中では柔らかい部類の石材で、高い吸水性を持っています。小さな穴がたくさんあるため、水をよく吸い、その水分のせいで割れやすく汚れやすい石材です。外装に使うよりは、内装の壁材や床材として使用したい石です。

堆積岩は含まれる粒の大きさで種類が変わります。

泥岩(粒が小さい)→砂岩(中間)→礫岩(大きい)

また、含まれる成分で種類が分かれます。
火山噴出物の堆積は、凝灰岩となり、生物の死骸は石灰岩やチャートとなります。

堆積岩の中でも、泥岩(玄昌石)のように粒子が小さければ吸収性が低いものもあり、外装材に使用することは出来ますが、石灰岩(トラバーチン)等については、小さな穴がたくさん空いているものは外装材には向いていません

トラバーチンイメージ


3、変成岩

もともと堆積岩や火成岩であったものが、高温や高圧などの条件にさらされて、鉱物組み合わせや組織が変化したものです。

有名所では大理石があります。主に内装材として使用される装飾石材で、花崗岩に比べて軟らかく、短時間で加工が可能な石材です。また、吸水率は低いですが酸性に弱い為、外部への使用には十分気をつけておくべき石材です。

石材には、それぞれ出来上がる過程や地域の特徴によって、性質や見た目が変わる為、建築のどこに使用するか十分吟味して採用する必要があります。

石材は最近の新しい建材との組み合わせや、意匠面やコスト面で採用が難しい材料と感じておりましたが、その地の風土、地域の特徴、建物の性能を丁寧に紐解き、適材適所に石材が配置出来れば、時間に耐えうる素晴らしい建築に繋がるものだと考えます。

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