道路の側溝や工場の床材として使われてきたグレーチングですが、現代の建築デザインにおいて、「光を通し、視線を逃がす」という、洗練された演出ツールとして建築に組み込まれることがあります。今回は、グレーチングがもたらす「透け感」に着目し、そのデザインの可能性を探ります。
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工業製品から「デザインエレメント」へ

グレーチングの最大の魅力は、その規則正しいグリッドが生み出す透過性です。鉄やアルミニウム、あるいはFRP(繊維強化プラスチック)といった素材が持つ硬質な質感と、隙間から漏れる柔らかな光のコントラスト。このギャップが、空間に知的な緊張感と開放感を与えてくれます。
グレーチングが選ばれる理由
- 軽量感の演出: 構造体としての強度を保ちつつ、視覚的な重さを排除できる。
- 環境性能: 採光と通風を確保し、エネルギー効率を高める。
- テクスチャの面白さ: 無機質なグリッドが、ミニマルな空間のアクセントになる。
「透け感」がもたらす3つの建築的メリット
グレーチングの透け感は、空間の「分け方」そのものをデザインに変えます。
1. 境界を曖昧にする

バルコニーやキャットウォーク(点検用通路)にグレーチングを採用することで、上下の空間が視覚的につながります。床があるのに、空が見える。足元に奥行きを感じる。この「透け感」が、限られた敷地面積の中でも広がりを演出します。
2. 光のグラデーション

太陽の動きに合わせて、グレーチングの格子が床や壁に刻々と変化する幾何学的な影を落とします。直射日光を適度に遮りつつ、美しい光のリズムを室内に取り込みます。
3. 風の通り道を作る「機能美」

高気密・高断熱化が進む現代建築において、自然換気の確保は重要な課題です。グレーチングを床や外構に組み込むことで、空気の循環を妨げず、家全体を呼吸させるような設計が可能になります。
シーン別:グレーチングの活用アイデア
| 箇所 | デザインのポイント | 効果 |
|---|---|---|
| 階段・踏板 |
鉄製グレーチングでスリムに構成 |
階段室が暗くならず、浮遊感のあるデザインに |
| ベランダ床 |
下階への採光を考慮したピッチ選択 |
1階のテラスやリビングに光を届ける |
| 外壁ルーバー |
縦使いで視線を遮りつつ風を通す |
プライバシー保護と開放感の両立 |
| インテリア棚 |
小さなピッチのステンレス製を採用 |
インダストリアルで清潔感のある収納に |
設計時に注意すべき「優しさ」のデザイン

デザイン性に優れたグレーチングですが、住宅に取り入れる際は以下の配慮が欠かせません。
- 素足への配慮: 住宅内では、角が丸いものや、目が細かいタイプ(ファイングレーチングなど)を選び、歩きやすさを確保する。
- プライバシーのコントロール: 透過性が高すぎると、下から覗き見えてしまう懸念も。設置場所と角度の計算が重要です。
- 物の落下防止: 小さなピッチのものを選んだり、アクリル板を併用したりする工夫が必要です。
まとめ
グレーチングは、それ自体が主張するメインキャストではありませんが、光、風、そして住まう人の視線をデザインに組み込むための、最高の名脇役です。「隠す」のではなく「透かす」。よく言われる引き算の美学をグレーチングを使って表現することが可能です。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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