近年、働き方改革やDX推進、またパンデミックをきっかけとしたリモートワークの浸透により、オフィス設計のあり方が大きく変わっています。とくに既存オフィスビルの改修設計には、単なる刷新だけでなく、働く人の体験価値向上や企業の経営戦略との連動が求められるようになりました。建築実務者の視点から、近年のオフィス改修設計の主要トレンドを解説します。
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ハイブリッドワーク対応のフレキシブル空間
リモートワークと出社が共存する「ハイブリッドワークモデル」の普及により、オフィス内のゾーニングが大きく見直されています。
特徴的な改修手法
- フリーアドレスデスクやホットデスキングエリアの導入
- 可動間仕切り(パーティション)による用途変更の柔軟化
- Web会議対応のフォンブースや小規模個室の増設
実務ポイント
- 空調・換気計画も柔軟性を持たせる(個別空調対応など)
- ICTインフラの更新(Wi-Fi強化、コンセント増設)
ウェルビーイングを促進する居住性の向上
従業員の健康や幸福度(ウェルビーイング)への配慮が、改修設計の中心テーマとなっています。
注目の設計要素
- バイオフィリックデザイン(植物や自然素材の多用)
- 自然光の取り入れと高演色LED照明の活用
- リラクゼーション空間(休憩ラウンジ、仮眠スペース)
建材・設備
- VOC低減建材
- BELSやWELL認証取得
サステナビリティ・省エネ改修
ESG経営が浸透する中で環境配慮型改修の要望が急増しています。
改修の具体例
- 高性能断熱サッシやLow-E複層ガラスへの更新
- LED照明、省エネ空調機器への更新と自動調光システムの導入
- リユース家具・リサイクル建材の採用
設計のチェックポイント
- 省エネ法、建築物省エネ性能表示(BELS、CASBEE)への対応
- テナント入替を想定した設備更新計画
コミュニケーションの活性化
オンライン中心になる一方で「対面」を重視した設計も注目されています。
トレンド例
- ラウンジ・カフェスペースの設置
- オープン階段や吹き抜け空間の活用
- ガラス間仕切りによる視覚的つながりの演出
設計上の配慮
- 吸音パネルやファブリック素材で音環境に配慮
- 動線計画による偶発的な交流の促進
DX(デジタルトランスフォーメーション)対応
- スマートオフィス化
- スマートロック、センサー連動照明・空調
- 照度・CO2濃度・人流データのセンシングによる空間最適化
まとめ
オフィス改修設計は、「働く場」としての環境向上とともに、サステナビリティやDX、ウェルビーイングといった多様な要素を複合的に盛り込む時代となりました。柔軟性(フレキシビリティ)、可変性、そして利用者体験の最大化をテーマに、設備更新や新素材の積極活用を意識することが成功の鍵といえます。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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