家を建てる上で多くの人は「明るく開放的な家に住みたい」と考えるのではないでしょうか。そこで重要になってくるのが窓の数や形です。どんな窓を選ぶのかは、間取り・家族の構成・ライフスタイルなど何を重視するのかによって変わってきます。
例えば、窓をたくさん設ければ開放的で外の空気や光をたくさん取り入れることが出来ます。しかし、その分夏場や冬場の気候に対しては、それだけ外の空気が伝わりやすくなってしまいます。また、窓をたくさん設けることはガラス面が増えることを意味するので、防犯性や安全性・断熱性や気密性に対しては不利になってしまうことも考えられます。当たり前に存在している「窓」ですが、実はどんな窓を選ぶのかということはどのように生活するかという、日々の暮らし方に大きく影響しているのです。
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主要な窓は7種類ある!開き方の違いとは?
「窓」とは、室内に外の光や空気を取り入れるものです。つまり、「窓」を開けることで室内と室外を繋げる役割があるとも言い換えられ、その開け方に様々な種類が存在します。細かく種類を挙げてくときりがないくらいの種類があるため、基本的な7種類を覚えておきましょう。それぞれ開き方に大きな違いがあり、その違いによって特徴やポイントがあります。
さっそく解説していきます。
引き窓|特徴と選び方のポイント
日本の住宅で最も主要な窓が「引き窓」です。窓を横にスライドさせるようにして開きます。引き違い窓、片引き窓、引込窓等がこれに該当します。
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引き窓の特徴
最も重要な特徴は、窓が家の内外のスペースを邪魔することなく存在できるということです。言い換えれば、スペースを有効活用するなら引き窓が良いです。また、最もポピュラーなタイプの窓ですので価格も経済的となっています。日本の伝統的な襖や障子と同じく、レールに沿って横に動かすことで開閉を行う為、窓の開閉に対して周囲のスペースを気にする必要がありません。
例えば、日本の住宅街では、建物同士が密接に並んでいることも多くあります。後ほど紹介しますが、窓をドアのように外に向かって開くタイプ(開き窓等)は、開いた先に、何か物があればぶつかってしまいます。引き違い窓であれば、壁に沿って開くような形式の窓となる為、物にぶつかる心配がありません。窓枠の中を窓がスライドできるように、窓に戸車(タイヤのようなもの)が設置されています。その為に、窓枠と窓との間に隙間ができてしまうので気密性に劣ります。
選び方のポイント
最もポピュラーですが、実は窓の外側の面を掃除しにくいタイプの窓です。日本の場合、一般的には、引き違い窓の外側にはバルコニーがあったりするので、外側にも人が立てます。そうであれば、外から窓を掃除できるので問題有りませんが、2階や3階でバルコニー等が無い面に引き違い窓を設置する場合、体を外に乗り出さないと窓の掃除ができませんので、注意が必要です。外の光をたくさん取り入れたい場合、引き違い窓を大きくすると、手が届かず、自分で窓を拭くことができなくなる可能性があるので、注意しましょう。
また、レール上を引いて動かす為、レールと枠が密接しすぎない造りとなっています。その分、気密性を確保しにくいという点で、夏場や冬場の気候に対して、室内側の環境確保がしにくい窓となります。「冬場に窓から冷気を感じる。」という経験がある方、だいたいこのタイプの窓だと思います。近年は、窓そのものやガラスの断熱性能も上がっているので、良くなっています。この窓付近では、なるべく寝具を置かない方が快適に過ごせます。
一方で、窓そのものの作り方は非常にシンプルな為、窓を開けるという行為に対して、殆ど力が必要ありません。力の弱い方やご高齢の方でも開けやすい窓となっています。
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開き窓|特徴と選び方のポイント
窓といえばこの「開き窓」をイメージされる方も多いのではないでしょうか。両手でガバッと開けられるタイプの窓です。海外では比較的に多いタイプの窓です。片開き窓、両開き窓があります。外に開くか、室内に開くかの種類もあります。
開き窓の特徴
開き窓は引き窓とは違い、窓の全ての面積を開放することが可能な為、外の空気を取り入れるには大変適した窓といえます。また、引き窓に比べて、気密性が高いという点も特徴です。開き勝手が内側か、外側かで使い勝手が大きく異なることも特徴となっています。それぞれのポイントを理解して選ぶ必要があります。
選び方のポイント
一般的には外開きを選びます。内開きはたとえ窓を閉じていたとしても、室内側に雨水を取り込み易いからです。しかし、例えば外開きの場合、網戸は室内側に設けなくてはなりませんが、網戸があっては窓を開けられません。つまり網戸の設置が難しいので、虫等が室内に侵入し易い窓とも言えます。メンテナンス性に関しては、片開き窓の場合は外部側が困難です。両開き窓の場合は、引き窓と同様に大きさによっては困難ですが、清掃したい側を閉じてもう片方の窓を開けることができるので多少は対応出来ます。内開き窓の場合は室内側に窓が開く為、外側に網戸を設けられ、窓の掃除も全て室内側で行えるのでメンテナンス性が高いといえます。
一方で、窓が開く範囲は家具等を置いてしまうと窓の開きを邪魔してしまいます。内開き窓は、室内側に窓の開閉スペースが確保できるゆとりが必要です。
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滑り出し窓|特徴と選び方のポイント
あまり一般的に聞きなれない窓だと思います。滑り出し窓には大きく2つの種類があります。一つは、縦滑り出し窓。もう一つが、横滑り出し窓です。言い換えれば、縦か横かの違いです。縦滑り出し窓を見た方は、外開き窓と同じじゃないか?と困惑される方もいらっしゃるかと思います。見た目は殆ど同じですが、特徴が全く違います。
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滑り出し窓の特徴
滑り出し窓は、窓枠にレールが組み込まれており、そのレールを枠の上限に設置したものが縦滑り出し窓、枠の左右に設置したものが横滑り出し窓です。どちらも、開閉する位置を自由に設定することが出来る為、安全性や防犯性にも比較的優れた窓です。気密性も高いです。外開き窓と似ている縦滑り出し窓の場合、使い勝手や注意点は外開き窓と差はありませんが、窓が窓枠から少し内側に移動して開くことが可能な為、窓の外側の清掃が可能です。そのメンテナンス性に優れることもあり、実は現在の一般住宅では、外開き窓ではなく縦滑り出し窓が普及しています。
横滑り出し窓は、縦滑り出し窓を90度回転させた造りです。一般的な風の流れを面で受ける面積が少ない為、風の影響を受けにくいタイプの窓です。また、雨に対して外側に傾斜して開いているので、開けっ放しでも雨の進入がしにくいタイプの窓となります。
選び方のポイント
倒し窓|特徴と選び方のポイント
倒し窓は、横滑り出し窓と見た目は似ています。ですが、窓の回転軸が窓枠に固定されているので、外側の窓の清掃がしにくいという点で滑り出し窓と異なります。外倒し窓と内倒し窓があります。
倒し窓の特徴
倒し窓を採用する主な目的は、「外の空気を取り入れる」のではなく、「部屋の空気を外に出す」ことです。内倒し窓の場合、室内の空気が外に出る為には、天井を沿って空気が動かなければならない為、換気性能はあまり良くありません。しかし、開けっ放しでも雨水が入りにくい為、お風呂場等に代表される水廻りの換気用として使用されることが多いです。外倒し窓の場合、室内の空気を理想的に外へ出すことが可能です。一方で、雨が降った場合は、そのまま雨水が室内側へと流れてきますので、窓の開閉が唯一天候に左右される窓とも言えます。
実は、この窓は住宅というよりもオフィス等の換気用に利用されることが多い窓です。室内で火災が発生した場合に、煙を外へ出すという方法で、この窓はとても利便性が高い窓となります。注意点があり、ワイヤーで開き具合を調整するタイプの倒し窓があります。このタイプは、水廻りに利用するとワイヤーの錆の原因にもなるので、水廻りの部屋には採用しないようにしましょう。
選び方のポイント
この窓は、比較的に部屋の高い位置に設置することが多いです。その為、リビング等の開放性を得たい場所に設置する場合は、この窓単体というよりも、他の窓との組み合わせで採用することをお勧めします。外倒し窓は、開けることで雨の進入がし易い窓ですので、庇の下等、直接雨が掛からない場所に設置することで、換気性能とデメリットである雨の進入を防ぐことが可能です。
回転窓|特徴と選び方のポイント
滑り出し窓と造りは似ていますが、窓が完全に回転するタイプの窓です。こちらも、縦の軸で回転する窓と縦回転窓と、横の軸で回転する横回転窓があります。
回転窓の特徴
開放性をかなり得やすく、換気効率がとても高いです。また、気密性にも優れている窓です。そして回転させることで外側の掃除も簡単に行える為、メンテナンス性に長けているタイプの窓です。一方で、室内にも室外にも窓の稼働範囲がある為、室内であれば家具やカーテン、ブラインドの類が、室外であれば窓格子等を設けることが出来ません。
選び方のポイント
縦軸回転窓よりも横軸回転窓の方が回転に重力の影響を受ける為、力が必要になってきます。ですので、なるべく広い開口が欲しい場合は、横軸回転窓よりも、縦軸回転窓を採用しましょう。カーテンのような目隠しを室内側に設けることが難しい為、戸建てであれば2階や3階の外から目立つ位置に設けることで、防犯上の影響を少なくできます。またプライバシーの確保をしたい場合は、ガラス側を半透明にする等の工夫が必要です。
上げ下げ窓|特徴と選び方のポイント
上げ下げ窓は欧米でよく使用されています。見た目は引き窓の縦方向とイメージしても良いですが、引き窓と全く違った特徴を持っています。下側の窓のみ動く窓をシングルハング窓(片上げ下げ窓)、上下どちらも動くものをダブルハング窓(両上げ下げ窓)と呼びます。
上げ下げ窓の特徴
引き窓と違い、枠に戸車(タイヤのようなもの)が付いていない為、窓枠と窓に隙間が無いので、引き窓の弱点である気密性が確保されています。デザイン性も高いので、外からの見栄えとしても良好です。また、ダブルハング窓の場合は、上下で窓を開くことにより、空気の対流を生み出しやすく、換気効率も優れています。
一方で、窓そのものを大きくすると、窓を持ち上げて開くようなイメージの為、開けにくくなってしまいます。小さなサイズの窓が一般的です。その分、防犯性にも優れた窓と言えるでしょう。
選び方のポイント
メンテナンス性は劣ります。また、窓枠に錆やごみが詰まると、開けにくくなってしまいますので、開ける頻度の高い場所に選ぶことで、気が付いたら開けられなくなっているといった事態を防げます。換気効率が高い窓ですので、部屋に1つあっても良いですし、リビング等の広い部屋にも複数設置しても良いです。
一方で、他の窓に比べて高額な点、細い窓ですのでカーテンが選びにくいというデメリットもあります。ブラインドやロールスクリーンにすることでカーテンと同様な機能を持たせられますが、それもまた高額なものになりますので、たくさん採用してしまうと、メンテナンス面も含めてデメリットが多くなります。
Fix窓|特徴と選び方のポイント
Fix窓(フィックス窓)はなかなか一般的には聞き慣れないかもしれません。固定された窓、つまり開けられない窓のことです。
Fix窓の特徴
Fix窓は、窓そのものを開くという操作が出来ない為、窓枠はガラスを固定するだけの役割しかありません。その為、窓枠をすっきりとシンプルな見た目に出来ます。また、手で窓を動かす必要が無いため、窓を大きくできることも特徴です。一つの大きな窓の中で、開く部分と開かない部分があるような窓も、細かく分ければFix窓と開き窓等とを組み合わせた製品です。
選び方のポイント
Fix窓は窓を開くことが出来ない為、外の空気を室内に呼び込むことができません。逆に言えば、外の光を室内に取り込むだけの窓です。しかし、室内の換気に必要な窓はそれほど数が必要ではない為、例えばリビングで開き窓とFix窓を組み合わせることで、より外の光を室内に取り入れることが可能です。また、当然開かない窓ですので、気密性はどの窓よりも高い性能となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。窓には様々な種類があります。近年では、縦にも横にも開くドレーキップ窓(ツーアクション窓)といった特殊な窓や、窓を天井に取り付けることで、天井から光を取り込む窓等もあります。
このような窓は、窓の種類というよりも、設置する位置をどこにするのかという点が重要になりますので、建物の設計士さんとよく話し合って決めた方が良いです。窓は、換気や外の光といった、生活に大きく影響するものです。性能や特徴を理解して選ぶことが重要です。